はじめに
中古マンションリノベーションの醍醐味といえば、なんといっても自由な間取り変更です。
「壁付けのキッチンを、リビングを見渡せるアイランドキッチンにしたい」
「お風呂をサイズアップして、洗面所も広くしたい」
そんな夢を描いてフルスケルトンリノベーションを検討される方が増えています。
しかし、マンションの構造によっては、「希望の場所に水回りを移動できない」というケースがあることをご存知でしょうか?
今回は、物件購入前に知っておきたい「水回り移動のルール」について、失敗しないためのポイントを解説します。
水回りの移動を左右する「床下の勾配」とは?

キッチンやトイレの位置を動かす際、最も重要なのが「排水管の勾配(傾き)」です。
水は高いところから低いところへ流れます。排水をスムーズに流すためには、1メートル進むごとに1センチ程度の傾斜をつける必要があります。
床下のスペースが運命を分ける
配管を長く延長してキッチンを大きく移動させる場合、その距離の分だけ「高さ」が必要になります。
しかし、マンションの床下(コンクリートスラブと床材の間)に十分なスペースがない場合、勾配が確保できず、移動ができないことがあります。
無理に移動させるとどうなるか?
- 排水の流れが悪くなり、詰まりやすくなる
- 「ボコボコ」という排水音がうるさくなる
- 床を部分的に上げなくてはならず、段差ができる
夢LISTでは、現地調査の段階で可能な限り床下の状況を確認し、「リスクのない移動範囲」をご提案しています。
絶対に動かせない「PS(パイプスペース)」の壁

マンションの間取り図を見ると、「PS」と書かれた小さな四角いスペースがありませんか?
これはパイプスペースと言って、マンションの全世帯をつなぐ縦方向の配管(共用部分)が通っている場所です。
このPSの位置は、絶対に動かすことができません。
例えば、トイレを部屋の反対側に移動したいと思っても、汚水を流す太い管がPSにあるため、そこまで長い距離を勾配をつけて引っ張っていくのは現実的に不可能です。
スケルトンリノベーションであっても、この「PS」の位置を起点に間取りを考える必要があります。
見落としがちな「管理規約」の罠

構造的には可能でも、マンションごとのルールである「管理規約」によって工事が制限されることがあります。
遮音等級(L値)の制限
多くのマンションでは、階下への騒音トラブルを防ぐため、床材の遮音性能(L-45以上など)が決められています。
無垢材のフローリングを使いたい場合、防音下地を組み合わせるなどの工夫が必要になり、その分費用や床の高さに影響します。
窓や玄関ドアは「共用部分」
「窓を大きくしたい」「玄関ドアを変えたい」というご要望も多いですが、これらはマンション全体の持ち物である共用部分にあたるため、勝手に交換することはできません。
(※ただし、内側に二重窓をつけることは専有部分の工事として認められています)
「できない」を知っているからこそ「できる」提案がある

ここまで読むと「マンションリノベって制限ばかり…」とガッカリされたかもしれません。
しかし、これらはあくまで「物理的・法的なルール」です。
私たち夢LISTの強みは、これらの制限を熟知した上で、「じゃあ、どうすれば理想に近づけるか?」を考える提案力です。
- 配管の段差を逆手にとって、小上がり和室やステージキッチンのようなデザインにする
- 水回りは動かさず、壁を斜めにして視覚的な広がりを作る
- 女性目線で、家事動線が最短になるレイアウトを再構築する
「他社で断られたけど、どうしても諦めきれない」というご要望も、大工としての技術と経験で解決策が見つかることがあります。
まとめ
後悔しないリノベは「物件選び」から始まっています。
もし、これから中古マンションを購入されるのであれば、「この物件で理想の間取りは実現できるか?」を契約前に確認することをお勧めします。
「この間取りは実現可能?」「費用はどれくらい?」など、疑問があればお気軽にご相談ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。

